児童福祉司は、虐待を受けた子どもや障がいを持っている子ども、社会になじめなかった子どもなどのたくさんの事情を抱えた子供が入所している児童養護施設で子どもを支援する仕事である。
「児童福士司」というと、子どもの福祉の専門職であり、一見すると難度の高い試験を受けないとこのこのようにして働く資格が得られないのではないかという感じがするのではないだろうか。
しかし児童福祉司というのは、実は専門的な資格が必要なわけではない。
正確に言うと社会福祉士(Social Worker)という資格を持った人が児童養護施設で働いているのだが、社会福祉士は高齢者や障がい者のケアや、福祉協議会での事務など幅広い活躍が期待されている仕事である。
非常に汎用性の高い仕事であるためだけに、児童養護施設や、児相(児童相談所)での勤務する上での知識が果たして十分なのかという疑問の声が上がっている。
2018年の、目黒での心愛ちゃんの虐待死の事件は、記憶に新しいのではないか?
あの問題もそうだが、近年注目度が上がっている業界の一つであると言える。
福祉新聞の記事によると、先月の19日(令和2年2月19日)、厚生労働省の委員会で、子どもの福祉分野における新たな議論を遂行したそうなので、そちらを参照していただきたい。
会合で厚労省は資格の在り方に関する論点を提示。具体的に、子ども家庭福祉分野のソーシャルワーカー(SW)や、指導も行うSW、児童相談所の児童福祉司などを挙げ、資格化の対象範囲について議論を求めた。
奥山委員は「社会福祉士だけで児相のことができるかというと、答えはノーだ。しっかりした資格が必要」と主張。藤林武史・福岡市こども総合相談センター所長も将来的には児相に子ども分野の国家資格を持つ人が8割になるような状況を目指すべきとの考えを示した。
やはり現状のSWだけでは手が行き届かないであろうと考える委員もそこそこいるようであった。8割という具体的な数字も気になるところである。役割分担を考えたときに、密接な子どもとのかかわりを持つ人の割合が8割ぐらいなのではないかということであろうか?
虐待の凄惨な事件が起こり、二度と同じ事件を起こしてはならない。またあの死を無駄にするわけにはいかない。そのような意識からくるものもあるのではないか?と素人ながらに考えてしまう。
しかし、このように個別に資格を設けるべきであるという意見に対し、首を縦に振る人だけではなかったようである。
これに対し、栗原直樹・日本社会福祉士会副会長や加藤雅江・日本精神保健福祉士協会常任理事は新たな国家資格には反対の姿勢を示した。宮島委員も社会福祉士をソーシャルワークの共通基盤として活用すべきだと強調した。
また江口晋・大阪府中央子ども家庭センター所長は、行政の福祉職採用では児童分野以外にも生活保護や障害分野の業務もあることから「採用後のことを考えると国家資格に縛られるのは難しい」と指摘した。
江口所長が述べている、「行政の福祉職」という点が1つキーポイントとなっているような気が、個人的にする。
「行政の福祉職」という枠組みでSWは生活保護、高齢者支援や障がい者の保護などをこれまで行ってきた。
家庭相談所や児童相談所、児童養護施設におけるSWの働きも、子どもの福祉(いわゆる「行政の福祉職」)として大きな福祉業務としての枠組みの一環として捉えられている。
このつまり枠組みの概念そのものを変えなければならず、国家資格を認められるための労力を考えると、実現が容易ではないのでは?という意見もわからなくはない。
このように、国家資格化を反対する意見もそこそこある。
どのような方針で話を進めるのか。これは非常に難しい問題である。
個人的な意見ではあるが、国家資格まではいかなくても、「児童福祉司」として民間の別途資格を設けるのがいいのではないかと思う。
普通のSWと差別化することで、事業者の責任感や利用者の父兄の安心感、また知識の充足による満足度の上昇など、様々なメリットがあるのではないかと考えている。
やはり凄惨な事件が起こってしまい、具体的な策を打たなければならない現状があると言える。
今後も児童福祉業界の変容に注目していきたい。
拙いブログではありましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました(^^)/