現在、日本では貧困が問題となっています。
全世帯のうちの16~17%ほどが、貧困に該当します。ちなみにここでいう貧困とは、相対的貧困のことを指します。毎日ご飯を食べることはかろうじてできますが、旅行や習い事、塾などに満足に通えず、生きるための最低限のことだけで生活することを強いられている状態のことを指します。
(貧困というと今日明日生きられるかわからないくらい飢えてしまっている人を想像されるかもしれませんが、それは絶対的貧困に該当します。)
今回、特にスポットライトを当てていきたいのが、子どもの貧困についてです。
世帯主の年収や、1人親世帯など、親の影響を直接的に受けてしまうと言っても過言ではありません。
子どもの貧困では、どのように問題が生じているのか、実態に迫っていきたいと思います。また、どのような対策が必要なのかも見ていきたいと思います。
子どもの貧困が抱えている問題
教育面
子どもの貧困において、最も貧困ではない人との差が出てしまうのが、教育面であると考えられています。塾や公文などの学校外での教育機関を利用できないというのもそうですが、進学率に影響が及んでいるという事実があります。
ここで、全世帯と生活保護世帯の子どもの高校進学率を比較してみたいと思います。
2016年7月の内閣府のデータによりますと、
全日制の高校に通う子どもの割合は、全世帯で91.4%だそうです。それに対し、生活保護世帯のこどもだけで見ると、67.4%だそうです。
定時制の高校に通う子どもの割合は、全世帯で2.0%だそうです。それに対し、生活保護世帯の子どもだけで見ると、11.7%だそうです。
通信制の高校に通う子どもの割合は、全世帯で5.2%だそうです。それに対し、生活保護世帯の子どもだけで見ると、2.0%だそうです。
また、中退率を見てみると、全世帯の割合が1.5%なのに対し、生活保護世帯の子どもだけで見ると4.5%だそうです。
このデータからもわかるように、生活保護世帯の子どもは、全日制の進学率が低く、中退率が高いという現実があります。
このようなデータが出ている原因はいくつか考えられますが、教育機会という観点から見ると、平等であるとは決して言えません。
家庭環境
家庭環境においても、残念ながら良い影響が出ているとは言えません。
具体的には、虐待やネグレクトのリスクが高まっているのではないかという懸念もあります。
「疲れたり眠かったり体調が悪いときには、虐待する人の気持ちも十分わかる」(こはくさん)、「自分に余裕がなければ、つい子どもにきつくあたってしまう」(kobemamaさん)というコメントの通り、子育てしている人なら誰しも、親の余裕がないと、そのストレスが目の前の子どもに向かってしまうということは、かなりの確率で起こりうることです。
「大人の貧困=大人に余裕がないことが、子どもの貧困や虐待につながっていると思います」とシンゴパパがコメントくださいましたが、親のストレスが子どもに向かい、それがエスカレートしてしまうと子ども虐待に陥ってしまうでしょう。
「親が長時間労働や仕事の掛け持ちを強いられ、家にいないことが多くなることにより子どもが「ネグレクト」されている場合もある」というのは、まさにその通りと思います。貧困とは一見無縁の、「女性が輝く社会」という政府方針のもと、女性活躍社会がうたわれていますが、この裏側で保育の長時間化も指摘されています。親子で過ごす時間が極端に少ないケースもあります。
ここに貧困が重なってくると、親が長時間労働で働かなくてはならない→保育料をかけたくない。手続きが面倒→幼い子どもを家に放置して働くというケースも少なくありません。
貧困世帯の中には、1人親世帯の割合が高いと言えるのですが、大変な労働を強いられて毎日を過ごしている親御さんが多いです。そのためストレスが溜まってしまったり、子育てに十分な時間が取れず、虐待やネグレクトのリスクが高いと考えられているそうです。
こればっかりは、環境ごと対処が必要であると言えると思います。追い込まれてしまっている中で、親御さんのストレスが溜まってしまったり、子育てが十分に行き届かなかったりというのもわからない話ではありません。
しかし親としては子どもを育てる義務があります。この狭間で戦う親の苦労は計り知れないものがあります。
決して子どもだけの問題ではありませんね。
その他
旅行に行ったり、季節行事を楽しんだり、習い事をしたり、遊び道具(ゲームなど)を買ってもらったりできないという現実があります。
衣食住だけが保証されている最低限度の生活を強いられていると言えるような実態もあります。
周りの友達が上記のような楽しみ方ができているのに対して、自分はそのようなことができないんだ。と考え、辛い思いをしている子どもがいるというのも現実の1つとしてあります。こればっかりは仕方ないという方もいるかもしれませんが、子どもにとってみればかなり大きな問題です。
それ以上のものをお金がかからないもので子どもに与える工夫が必要になるため、かなり大変です。
どう対処していかなければいけないのか
お金がなく、苦しい思いをしている現状から目を離すというのは、なかなか難しいです。
上記で挙げたような教育面、家庭環境面などの影響は、社会的不利に当たると言えます。この社会的不利は、憲法上の理由などから考えても、対処されるべきであります。
まず教育面から考えます。例えばの話ですが、生活保護世帯や、1人親世帯で金銭的に困難を抱えている世帯などをより優遇される(格安で利用できる)ような通信教材の仕組みを作ったり、小学校や中学校側が、より手厚い指導をしたりする仕組みを作ったりするのが良いのではないかと思います。
この時、優遇されていることを周りに知られないようにすることが1つの大事なポイントになります。
また家庭環境面では、対象の親子で参加できるセミナーを開いたり、地域のソーシャルワーカーが特別に顔を出したりする必要があるかと思います。
これは閉鎖的な環境によって虐待になることを防止したり、コミュニティーを形成することで包括的に子どもを育てて、ネグレクトを緩和させる狙いがあります。
いずれにしても、国をあげて金銭面、環境面など何かしらの対応が必要になっている局面であると言えます。(今に始まった話ではないと言われればその通りですが、、。)
まとめ
家庭によっても程度は違いますが、貧困の割合が6~7人に1人というのは、決して目を背けられるような数字ではありません。
クラスに数人は必ずいるくらいの割合ですからね。
裕福な人ほど貧困の人達には目をくれないんですよね。「貧困の人なんて自分の周りにはいない。」と豪語する人もいます。場合によっては国や地方公共団体の偉い人ですら、そのように言ってしまうケースもあるのです。
しかし現実、そんなはずがありません。データとして出ていますし、貧困の人は貧困であることを知られたくないですから、知らせていないだけです。
この格差社会が生じている現実を1人でも多くの人が重く受け止め、国の政策を変えていく必要があると思います。
難しい問題ではあるのですが、この記事をご覧いただいた1人でも多くの方が、この問題に対して真摯に考えていただけたら嬉しいなと思っています。
拙いブログではありましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました(^^)/