令和2年、1月31日付の厚生労働省の調査によると、児童養護施設に入所している子供のうち、障害を持っている子どもの割合が37%となり、5年前と比べ1割ほど増加したそうです。
また、虐待経験があるとしている子どもの割合も66%に上っており、非常に高い割合と言えます。
児童養護施設に来る理由の多様化が、このような現象の結果からも推測できるのではないかと思いますね。
ネグレクトなどの育児放棄や、身体的虐待及び精神的虐待など児童養護施設が強制的に関与せざるを得ないような事例をはじめ、障害を持っている子どもに対し、どのように育児をしてよいのかわからなかった事例、またネガティブな理由なく親の意向で預けている事例など、さまざまなのではないかと考えられますね。
その増えている障害児の割合なのですが、症状別の割合を見てみましょう。
障害の内訳(重複回答)を見ると、児童養護施設では知的障害(14%)が最も多く、自閉症スペクトラム(9%)、注意欠陥・多動性障害のADHD(同)、反応性愛着障害(6%)の順。乳児院では身体虚弱(14%)が最多で、知的障害(5%)、言語障害(3%)と続いた。里親も知的障害(9%)、自閉症スペクトラム(7%)、ADHD(6%)が多い。
知的障害は、一般に、物の認識や言語の発達などにおいて、難色を示すケースが多い。そのため、子育てに不安を感じた親が養護施設に預けようとするパターンが、他の障害に比べ最も多いのかもしれません。
比較的重度の障害を持つ子供ほど、割合が高くなっていると言えるからです。
自分の意志で、児童養護施設に入ろうとする子供はあまり多くないのではないでしょうか。
(反応性愛着障害は、親の愛着形成に影響を与えるため、特異的に当てはまらないケースもある)
そのため、ほとんどが親や職員などの大人の意向であると言えるので、割合を分析することで、大人の心理的な側面が見えてくることがあると言えます。
乳児期では、言語をはじめとする知能的な側面は、あまり浮き彫りにならないため、最も多い割合が身体虚弱となっているのかもしれません。
やはり親としても、最もわかりやすい症状の方が手を打ちやすいということなのではないでしょうか、、、。
続いて、虐待経験のある子どもについて見ていきます。
一方で虐待経験のある子どもも、児童養護施設が66%、乳児院が41%、里親が38%と、すべて前回より上昇した。特に、児童養護施設の子どもが受けた虐待(複数回答)は、ネグレクトが63%と最多で、身体的虐待が41%、心理的虐待が27%、性的虐待が5%だった。
ネグレクトが圧倒的に多い数値を誇っていますね。
確かに、最近そのような光景がかなり身近な場所で見られることも増えてきたような気もします。
小さな子どもをほったらかしにして買い物に夢中になるお母さんを見るたびに「おーい!」って声かけたくなります(笑)
親の未熟さゆえの責任能力の欠落も、かなり社会問題として見過ごせない事案となっています。
さて、このデータを見て、虐待経験のある子どもの割合が上昇したというのは、ネガティブに思えるかもしれません。
しかし、そうとも言い切れないというのが注意しなければならないポイントです。
児童養護施設は子どもたちにとっては、非常に安全な場所です。
すなわち、安全な場所に保護できた子どもの割合も上昇しているということになるのです。
2年前の目黒での凄惨な事件は、皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。
何度新聞の記事を見ても、胸が締め付けられる思いであり、あのような事件は絶対再発させてはいけません。
より多くの子供が、助かっているのかもしれない。
そのように考えることもできるのです。
子どものニーズが多様化している今日だからこそ、打てる手だてもたくさんあるはずですし、それだけ可能性も広がっているのではないでしょうか。
児童養護施設から、高校や大学進学などを志す前向きな子供たちの割合も増えてきているそうです。
これは非常にポジティブなニュースです。
このような現実から考えられる原因を洗い出し、社会全体が目を向けるようになることで、健常な子供とどうように障害をもつ子どもも、その子にあった素晴らしい夢を持つことができるような世の中になったらいいなって思います。
拙いブログではありましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました(*^^*)