メンタルてちてち

心理系、福祉系の話題が多いです。少しでも皆様に役立つ情報を発信できればと思います。

児童養護施設で実習!施設の実態と感想

 

 

 こんにちは。私事ではあるのですが、今年の夏の一か月間、社会福祉実習(社会福祉士の資格を取得する上で必要な実習)として児童養護施設で実習をしてきました。私自身は一般家庭で過ごしてきましたが、そんな一般家庭で過ごしてきた平凡な私のような大学生が、始めて見た児童養護施設の景色に対してどのように感じたのか、また考えたのかという新鮮な感想を大切にし、実態や考察を記述していきたいと思います。今後実習に行こうと考えている方、児童養護施設に興味を示している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

 

 

 

児童養護施設の実態

どのような子ども達がいるのか

 僕にとって、児童養護施設は未知の世界であり、実習初日は非常に緊張していました。施設で暮らす子ども達には、虐待や、その他複雑なバックボーンをそれぞれ抱えているのだということを事前に知っていましたので、正直な話恐怖心もありました。仲良くなれるかどうかというのは去ることながら、「いじめられるんじゃないか。」というような心配までしていました。今となってはとんでもないなとは思いますが。(笑)

 実習初日に、私は今まで偏見を抱いていた自分を大いに反省することとなります。トイレ掃除や風呂掃除、洗濯物たたみなどの雑務をしたり、空いた時間で子ども達と関わったりする中で、積極的に遊んでほしい、おんぶしてほしい、抱っこしてほしいというような要求をしてくる子どもがとても多くなっていったのです。またそれぞれゲームやレゴ、ボードゲーム、テレビなど思い思いの遊びを楽しんでいました。

 まあ、誤解や批判を恐れずに伝えるとするのならば、少し関わっただけでは一般的な子どもと何ら変わりがわからない、というのが率直にまず思ったことです。強いて言うのであれば、聞き分けが良く、心の優しい子が多い。という所でしょうか。実態を知らないからこそ生まれる「卑屈になっているのではないか」というような過剰な偏見をもって初日に子ども達と関わってしまった自分自身を大いに反省しました。

 

どのような職員さんがいるのか

 率直な感想ですが、全ての職員さんが、子ども達に愛情をもって接していることが伝わってきたため、私自身非常に感動しました。基本的に低姿勢で、子どもの良いところを褒めようとしたり、朗らかに接したりしています。しかし、多くの子どもの生活の面倒を見なくてはならないので、時に突き放したり、冷たく見えるような関わり方を強いられることもあります。ただそのような習慣が根付くことで、本質的に冷たく子どもと関わってしまうというようなことはありません。あくまでそれは、大人数での子どもの生活をより良くしていこうというような考えが真髄にあるものであり、子どもが抱えている苦しみや悲しみに寄り添い、対処法を模索しようとする姿勢を怠るようなことはないのです。

 

 

 職員の勤務や給与形態はどのようなものか?

 まず、施設にいる職員の職種としては、児童指導員、保育士、栄養士、心理士、個別対応職員(アフターケアの専門の職員)の5職種でした。そのうち常に子どもの生活に携わる職種としては、保育士と児童指導員です。

 職員の勤務は2通りであり、早番(6時30分~21時勤務、9時~15時休憩)と遅番(9時~9時30分、15時~21時休憩、21時~7時宿直)の2形態である。人手が少ないため、宿直の人と朝番の人をかぶせることで、なんとか子どもの面倒を見る人員を確保しているというような実態があるようでした。

 また給与は、①児童指導員(教員免許取得者、児童福祉施設での実務経験あり、社会福祉士または精神保健福祉士のいずれかをもつ、という3つの条件のどれかを満たしている人が名乗ることのできる任用資格)、②保育士(大卒が絶対条件)のいずれかによって異なります。とは言え、若干児童指導員の方が給与が高いものの、ほとんど差がないのが実態です。

 また正直な所、一般的な水準と比較して給与があまり多いとは言えず、貯金をしながら1人で生活をしていくのは難しいかもしれません。また家庭を持ちたい、結婚したいなどのライフスタイルの願望が強い人には難しい勤務形態であるため、離職率はかなり高いようです。

 

 

 

考察

 施設の子ども達は、要保護児童という扱いとなっています。全ての子どもが児童相談所の介入を受けて施設へ措置されており、多くの子どもが家族再統合を目指しています。そのため、子どもと親しくなりすぎないように注意する必要があるのだという職員さんの言葉が印象的でした。

 寂しさや悲しさなど、他人のネガティブな感情が見えたとき、それを無くすためにはどうしたら良いかと突発的に考えてしまうものだと思いますが、根深い問題をそれぞれ抱えていますので、根本的な解決は難しいのだと思います。根本的な解決よりも、そこから生じる生活、社会、健康などの様々な側面で支障をきたす問題にアプローチすると共に、より良い環境を選べるような力を与えるという事後的な対処に力を入れる必要があるのだということを痛感しました。実際、そのような意識付けの元で、業務にあたっている職員さんも多かったのではないかと考えています。